アートのお値段

と、いうことでトム・オブ・フィンランドを観たあと、たて続けに『アートのお値段』を鑑賞@名古屋シネマテーク。

押し寄せるサブカル臭

こちらは、“現代”アート市場を巡る人々のドキュメンタリーです。

サザビーズ(Sotheby’s)のオークションシーンから始まるこの映画。会場の熱気と、一瞬で数億まで跳ね上がる落札金額、飛び交う声と金・金・金!オープニングからすごい(笑)

何をもってアート?ぶっちゃけ思っちゃうよね…これって凄いの?よくわからん…みたいな作品が数十億とかで落札されてりしてるワケです。単純にアートに興味が無くても、得体の知れない“モノ”に数千万・数十億って価値が付いてく瞬間を眺めるのって、それだけでちょっとゾクゾクしませんか?

とは言っても、なんとも皮肉なものでオークションで何億と値段が付いても、アーティスト達に支払われるワケではないんですね。オークションは単なる転売なので、元値が数十・百万でも、オークションでは何億という金額に跳ね上がる。アーティスト本人の意図とは別に、オークション会場ではスーパーリッチ達のパワーゲームが行われているよう。

映画の冒頭で、アーティストのラリー・プーンズ(Larry Poons)が「アートとお金に本質的な繋がりはない」と発言します。そりゃそうだ。そしてその姿勢は、真のアーティストって感じがして死ぬほど格好良い。じじいヤキが回ってないな、最高だな。悟りを開いてるに違いない。

ですが、プーンズと真逆のアーティストもいます。ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)。
これはこれで凄い。アート界の現状を熟知した上で、自身の作品と価値を一円でも吊り上げようとするその姿勢には圧巻。値札が自身の作品の価値を決めるのなら、そりゃ一円でも高く売れるほうが良いに決まってる。ちなみにこの人の顔、嫌いです。前戯がしつこそう…ゴメン。

この二人の対比がなかなかスリリング。あとここに絡んでくるのが、スーパーコレクターのステファン・エドリス。ラストシーン、この爺さんの言動に、良くも悪くも絶句でした。

それを取り巻くギャラリスト・キュレーター・批評家たち。それぞれ言い分があるんですね、そりゃそうだ。立ち位置が変われば、やるべきことも、正義も変わる。

 

お金が地球の血液である以上、お金に絶対的な価値があるのは事実。さらに、本当の審美眼て何?本物の価値って何?って話にもなってくる。だとしたら、その指標となるのは“値札”しかないわけで。

それは現代アートにおいてだけではなく、人にも言えるんじゃないでしょうか。
たくさんお給料貰ってるから、いい服着てるから、いいモノ食べてるから、いい車乗ってるから、いい家に住んでるから、社長だから、美人だから…あの人は素晴らしいに違いないって。

果たしてその判断は正しいのか?そういった問いかけをもくれる映画でした。
正に「The Price of Everything」。アートに興味がない方も是非。